2005年04月29日

父は運転手だった

事故から4日が経った。今日初めて、父が事故に付いて口を開いた。
父は某鉄道会社の元運転手。

オーバーランしたのは運転手の責任だが、
電車が遅れるのは運転手の責任ではない とつぶやいた。
運転時間は遅れない、停車時間で遅れるんだ と。1分半。私たちにとっては大した時間ではない。
でも運転手にとっては物凄い大きな時間らしい。

父もやはり時間には厳しかった。
私たち兄弟が小さい頃、母が私たちを連れて父と待ち合わせをしたことがある。
そんなに歳の離れていない手のかかる小さな子どもを3人連れて、
母は少しだけ遅刻をした。
「1分遅刻。」そう冷たく言い放った父に、母はとても悲しかったと言う。

乗客を何百人、何千人(←大袈裟?)もの人間の命を運んでいる運転手。
その重圧。プレッシャー。
そして今回に関しては、1秒単位で遅れの報告 という話も聞いた。
精神的に強くなければ続けられない仕事のひとつであることには間違いないだろう。
父の教え子で、やはりプレッシャーに耐えられず、電車を降りてしまった人も居るらしい。
特に事故を起こしてしまった訳ではないのに。

父も
「運転手になりたては月にいっぺんくらいオーバーランしてたぞ」
部下の見習い期間、自分で運転するよりストレスだったと言う父。
部下がオーバーランしそうになると、
たいてい指導している上司が手を出して、それをさせないらしい。
父は敢えて手を出さない。
そうなった時の対処をうまくできるようになった方が良いからだ。
上からは、出来の悪い指導者、教え子の失敗は指導者の失敗。
この評価があるから、手を出してしまう指導者が多いらしい。

父も人身事故を起こしたことがある。
すでに変色していた新聞の、小さな切り抜きを見つけたことがある。
自分への戒めの為なのだろうか。父が悪い訳ではない。
たとえ飛び込まれても『無事故○年』の記録はゼロに戻ってしまう。
その事故以来、父は無事故25年以上で仕事を続け、
55歳、運転手の定年を迎えた。
昇進することに欲はなく、運転手という仕事に誇りを持って。

定年を迎えるその時まで、父は運転する気でいた。
上司の計らいで「その日は休め」と言われた父。
最後の最後で事故を起こしたら、無事故の栄誉が無くなってしまうから。
そうする人たちが多いのだろうか。
母いわく、黙っていたが結構へこんでいたらしい。

母は黙っていなかった!会社に掛け合った!!
何しろ父の最終乗務に、母と私&何故かご近所さんも一緒に立ち合う計画があったから。
まぁでも、この話はまた別の機会に・・・

結局何が言いたいのか自分でもまとまっていないんだけど・・・
今回の事故と、父について思うことでした。
posted by えじぷしゃん♪ at 21:59| Comment(14) | ◆ちょいと脱線'05~09 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんかね、じ〜んとしました。
ほんとなんか・・・。
Posted by fatboy at 2005年04月29日 22:15
 通りすがりの者です。心に染みる話でした。
父上のような責任感の強い方ばかりなら、
こうした大きな事故は起こらないでしょうね。
でも、あの列車の運転士も車掌も
「保身」のために虚偽の報告をし、
速度超過を良しとしました。
責任感の重い仕事に対する潔さがなかったんだと
私は思います。
もちろん、会社の体質も問われなければ
ならないのでしょうけれどね。
Posted by ほりえ〜る at 2005年04月29日 22:26
今回の事故に関しては、みんな色んな思いがあると思います。
えじぷ〜♪ちゃんのお父様のように電車に乗っていて、運転手さんの気持ちがわかる人。
以前にあった電車の事故に遭遇した人、または犠牲になってしまった方やそのご家族。
そして、日常的に電車を使う人達。

連日の報道を見ながら、いろんなことを考えてしまいました。
犠牲になられた方のご家族の中に、世の中の気の緩みが悪い。誰を攻められるものでもない。と押し殺すように答えていた方の言葉が心に残っています。
Posted by うらら at 2005年04月29日 23:32
こんばんは

わずか3秒の間に起こった出来事・・・
亡くなられた方々、そのご家族、レスキュー隊、JR西日本の社長。
そして運転手・・・ニュースでみた彼の写真が頭から離れません。
ご家族が責められることがあってはいけないと思いました。
Posted by とに at 2005年04月30日 00:57
そやねぇ〜。。。身近に当事者と同じ仕事をしていたヒトがいるからその仕事に対しての理解ってのがあるよね。
そのどちらも知らない人間は、どうしてもメディアによる先導にもっていかれがち。今回の電車事故の運転士も、最初は‘ろくでもないヤツ’的に報道されがちだったけど、ココ数日は‘実は生真面目な青年’っていう報道が目立つけど、局に寄りけりで,,。
でも、確かな事は‘誰も好きで自己を起こすヤツはイナイ’ってことは間違いないワケで。
ただ、えじぶしゃん♪サンのお父さんは指導者として、多数の人命を預かる運転士として、正しい指導おをしてたとワタシは思う。失敗から学ぶコトってのは、どんな職種でもコレに勝るモノはないワケで、失敗を知らずして本当の成功はあり得ないとワタシは思ってる。失敗するからその原因を探る思考が生まれるんやもん。スバラシイお父さんでうらやましっす。
Posted by ric at 2005年04月30日 00:58
そうですか…。
お父様お疲れ様でした。
何1000人というのは大げさじゃないと思いますよ。
今回の事故の背景は、少しずつ見えてきたようですね。
スピード超過の背景には、会社からの「ペナルティ」があり、その背景に利用者の声がある。
亡くなった方、怪我をされた方には本当にお気の毒な事故でしたが、我々利用者もいろいろ考えさせられます。
Posted by よーし at 2005年04月30日 08:56
ただ、ただ悲しいです。
1秒に責任と誇りをかけるのも素敵です。ほんとにね。

私たちはこんな生き方をしていていいの?って思います。
何のためにこんなにあわてて生きているんだろう。
少しでも人に先んじたいから?お金がかかっているから?
他社との競争がかかっているから?
時間を守るのは他の人の時間をも大切にするという上での当然のマナーだけれど。

ほんのちょっとしたエラーで起きた、わずか一分足らずの時間を恨まずに過ごす精神性を私たちは失っているんだろうか。

ねぇ、えじぷしゃん♪さん。
あなたが旅した国々の時間はどんな風に流れていたんでしょう。
Posted by マコロン at 2005年04月30日 09:58
私の友人で大学生の娘さんの友達が この事故で帰らぬ人となったと
メール貰いました。事故のショックはありましたが
私は福岡なので知り合いも少ないため
周りにそんな人が居るとは思わなかっただけに
ショックでした。若いのに・・・さらに色々考えてしまった。
何が生死を分けるんだろう? 重症だけど助かった人もいる。。。
えじぷしゃんさんは海外に行かれてるから
時間遅れは日常茶飯事と理解してると思います。
時間厳守はマナーではあるけど、合理化、利益等も求められ
人間追い込むまでのぎりぎり感は、
時に一番大事な安全を逃してしまう。
最近、飛行機、バスなど事故が多発してる。
お父様は、いい指導者でしたね。
兄が鉄道マニアで、この事故のときに
”昔に比べて、運転手のなり手が少なくなった”と話してた。
人の命を預かる仕事だから、本当に厳しい世界だけど。。。
近頃 薄れてるように思えてならない、
仕事人の責任と人間性を感じました。
Posted by チーボー at 2005年04月30日 14:02
コメントを下さった皆様、ありがとうございます。
いろんな立場、いろんな意見、いろんな感情・・・
そのどれもが ある意味正しいのだと思います。
人間って、大きな痛手を受けないと学べないのかもしれない。
戦争だってそうだし。皆が悲しい辛い思いをして、もうイヤだ!と。
極限まで来ないと止められないのかも。
便利さ、快適さの追求。コスト削減、利益の追求。
過ぎたるは及ばざるがごとし、だ。
JRだけでなく社会全体、個人個人、どちらもだ。
Posted by えじぷしゃん♪ at 2005年04月30日 23:46
(続き)
父が言っていた「停車時間の遅れ」これは誰のせいなのか。
過密なダイヤを作った鉄道会社?
ドアを閉めなかった車掌?
乗客にストップをかけない駅員?
乗り遅れまいと駆け込み乗車をする乗客?
駆け込み乗車をしなくても、電車待ちをしている人間が多ければ
それだけ停車時間は長くなる。
人口増加を促したベッドタウンを作った会社?

初めは運転手ばかりが責め立てられる報道が多かった(気がする)
様々なことが少しづつ分かってきて、当初よりは冷静な報道になってきた気がする。
Posted by えじぷしゃん♪ at 2005年04月30日 23:57
(続き2)
正直、難しいことはよく分からない。ひとつだけハッキリ思うのは、
私たち多くの一般人・利用者がサービスの向上・便利・快適を求め過ぎた結果なのかな、と。
事故が起きてから安全性にやたら注目しているけど
だれかひとりでも、軽量化(安全性が下がる?)や過密ダイヤに不安を感じ、
クレームを付けた人が居るのだろうか。
時間の遅れ、本数の少なさに、多少なりともイライラを感じていたのは
私たち多くの一般人・利用者なんだと思う。
Posted by えじぷしゃん♪ at 2005年05月01日 00:07
(続き3)
父がニュースを見て何も言わなかったのが、初めは不思議だった。
(私の居ない時間に話していたのかもしれないけれど…)
運転手の焦る気持ちも分かる、
程度の差はあるにせよ、会社からのプレッシャーもわかる、
多くの命を運んでいる緊張感と重圧も分かる、
かといって、責任がない訳ではない・・・
いろんな事実がはっきりしてくるまで、コメントはしなかったのかもしれない。

運転手への同情と、何故安全を優先させなかったのかという責める気持ち、
きっと、どちらもあったのだと思う。
Posted by えじぷしゃん♪ at 2005年05月01日 00:21
私も、最初の頃の運転士さんに対しての報道は聞いていてイヤでした。
こういうことが起こると、必ずと言っていいほど
その当事でもないのに、その方の家を調べて嫌がらせの電話や手紙を送る人がいるといいます。
それも、一人や二人・・・1通2通の話じゃないと。
運転士さんも亡くなられたわけですし、その後家族も被害者の一人なのでは?と私は思ってしまいます。
えじぷ〜♪ちゃんの言うとおりこんなことがない限り、環境を良くする事に対してはクレームを付けないと思う。
誰のせいでもないと思う、でも鉄道会社を攻めたくなるご遺族の気持ちも解らなくはない。
鉄道会社の社長さんも、随分とお疲れの様子ですし、関わられている方皆さんの健康も心配です。
Posted by うらら at 2005年05月01日 10:32
>そのご家族も被害者の一人なのでは?
私もそう思う。とにさんのおっしゃる通り、家族は責められてはいけない。
>誰のせいでもないと思う
うん。逆に言うと、みんなの責任。私たち一人一人の責任。
被害に遭われた方は、悲しみのぶつけどころが無い。
JRだって責任がある訳だから、一番責め易いんだよね。
うららちゃんが最初に書いた通り、冷静になれば誰のせいでもないって頭では分かっていても、やっぱり誰かのせいにして、怒りや悲しみをぶつけてしまうんだと思う。
Posted by えじぷしゃん♪ at 2005年05月03日 23:04
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